※00最終回のデヴァインそっくりさんのイノベイドを見て閃いたデヴァインじゃないけどデヴァイン夢です。
公式にて自分が人間だと思ってるイノベイドが何万人も存在している、とのことで、そんなにいるなら顔と名前がそっくりなイノベイドもいるよな!と思って書きました。アニメに出てきたデヴァイン・ノヴァじゃないといやいや、という方はターンを推薦します。でもデヴァインは出てきません。あれ?






サァァ――という音という水の落ちる音がして外を見てみると、赤毛の男の人が外でホース片手に水をまいている最中で、小さくできた虹を奇麗だな、と見てからは視線を元の場所へと戻した。

「わたし、この光景みてやっと信じられたって感じがします」
「それは少し遅いんじゃないか?」

そうかな?と笑顔で笑って見せた大学時代からまったく変わらない後輩に、カティはひとつ溜息をついたが、その目はどこか笑っているようにも見えた。

カティ・マネキンとパトリック・コーラサワー。この二人を知る者は三か月前に行われた式の招待状を受け取った時、まずはその目を疑い、そしてどうしてこのようなことになったのかと首をひねったものだった。五年以上前のガンダムろ獲作戦において「鉄の女」の異名を得たやり手の女戦術士と、対ガンダム戦では何度も命の危険があったにも関わらずすべて無傷で生還できた「不死身のコーラサワー」の異名を得たお調子者のパイロット。接点はあるだろうが、その点が線に変わる過程がとても気になるカップルである。

しかし式での二人の人目で幸せなのだとわかる表情を見れば、お互いにそんな顔ができるのだからこの二人はお似合いの二人なのだな、と納得した。そしてその三ヶ月後、カティのかつての後輩はいきなりなんの連絡もなしに訪ねてきて、いきなりそのようなことを口に出した。

「だって先輩が結婚しちゃうなんて。しかも年下と!あっ、でも先輩年下好きそうですよね!」
「…そんなに私はわかりやすかったか?」
「わたしと先輩の仲じゃないですか!」
「で?ここに来た本当の訳を話してもらおうか?」
「…えっ?」
「昔からの癖だろう?なにか相談事があると何も言わずに私のところに来るの」

の目にカティの眼鏡がキラリと光ったのが見えた。やはり隠し事はできないのか。

「…わたし、先輩の投げたブーケ受け取れなかったんです」
「…それだけか?」
「そっ、それだけって!わたしにとっては大事なことですよ!」
「なんだ、彼とうまくいってないのか」
「彼、やさしいんですよ!やさしいんですけど…それだけで付き合ってもう何年も経ってるのに何も言ってくれないし」
「しかし、ブーケを取ったからといって言ってもらえたかはわからないぞ」
「せ、先輩今のわたしぐっさりきました」

見るからに落ち込んで自分の靴を完全に見ている後輩に仕方ないな、という笑みを向けて、カティは窓へと向かった。

「大佐ぁ!どうしました?俺と離れる時間がそんなにさみしいですか!?」
「大佐じゃない、准将だと何度言えばわかる。あそこに咲いているピンクの花、あるだろう。あれを少し摘んできてほしい」
「わかりました!カティのためなら喜んで!」
「…まったく、あの男は」

カティがパトリックの後姿を見てつぶやき笑みをこぼしたが、なにか視線を感じて振り向くとがじぃっとカティを見つめながらうらやましい、とつぶやいていた。これは重傷だな、と手を頭に当ててあきれていると、戻ってきたパトリックに花を手渡された。もう一度が下を向いてしまったことを確認すると、引き出しから鋏とリボンを取りだしてまきつけ、簡易なブーケを作った。


「はい…? っ わっ!?」
「ブーケだ」
「せ…せんぱい…!!」

先ほどまで今にも死にそうな顔をしていたは、簡単なブーケを受け取ったとたんに顔を真っ赤にさせてぐずり出した。近づいてきたカティに座ったまま抱きつき、カティはの頭を撫でてやった。昔から、自分はこの娘に甘いな、と思いながら。



「もう帰るのか?」
「はい!これ以上お邪魔はできませんし、来てすっごくよかったです!」
「そうか、またいつでも来ていいぞ」
「あ…、は、はい!」

わんわんと泣いた赤い目をして恥ずかしそうに手に持ったブーケをいじっていたら、椅子に座ってなんだかさみしそうにカティを見ているパトリックと目が合ってしまい、なんだかすごく悪いことをした気分になったので今度はもう少し早く帰ったほうがいいな、とは頭の片隅で思った。

その時、鞄の中で携帯端末がぶるぶる震えたのに気付いて、でもメールだったので玄関を出たら取ろうと思いカティとパトリックに挨拶をしてから玄関を出ようとした。

「そういえば、彼の名前は何と言ったか」
「デヴァインっていいます!」
「そうか、…そうだったな」
「どうしました?」
「いや、同じ名前の軍人を知っていたからな」
「まぁ、同じ名前なんてたくさんいますからね。彼はMSに乗ったこともないし宇宙に行ったこともない人ですから」
「そうだな、じゃあ気をつけて帰るんだぞ」
「はい!さようなら!」

後ろ手でパタンと扉を閉め、鞄を探って携帯を取り出す。慣れた手つきでメールを開くと、噂のデヴァインからのメールだった。


件名:Re:
本文:帰りを待っている。例の場所に来てもらえないだろうか


ここで言う例の場所、とはとデヴァインとで二人の思い出の場所と言っていいくらい色々とあった場所のことだ。一瞬別れを切り出されてしまうのか、と心臓が止まりそうになったが、あの場所ではいつも最終的にが幸せになる結末が待っているということを思い出した。は心を奮い立たせてからカティからもらったブーケを抱きしめ、愛しの彼の待つ場所へと走り出すのであった。



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