イルミイルミ、わたし今すごくムラムラしていてもう一人じゃどうしようもないくらいになってしまってるの、だからイルミ、フェラチオしてもいいですか。





 会話の途中で突然頭がイカレているかのような言葉を発して、はイルミの了承を取る前に彼のズボンに手をかけた。当然の結果としてその手はあらぬ方向へと捻り上げられては苦悶の悲鳴を上げることになった。

「いたた、イルミさん。駄目、これ人間が侵してはいけない領域の角度」
「話の途中だったんだけど」

 ようやく離された腕を元に位置に戻しては再度イルミの真っ黒な瞳を見つめて媚びるように口を開いた。

「だってどれだけご無沙汰だと思ってるの?久しぶりにイルミの殺気に当てられて、感じちゃった」

 イルミとの仕事が一番気持ちいいんだ。と笑顔で言うを見てイルミはため息を吐いた。優秀なビジネスパートナーであるこの女、仕事の腕は確かだけれども死地でエクスタシーを感じる性癖を持ち合わせている。知り合いにもう一人似たような変態を知っているが、実際に迫ってくるのがのほうがイルミの中では厄介な変態だ。
 テーブルが無いからといってベッドの上で書類広げるんじゃなかったな、とイルミは思ったがを見る限り完全にスイッチが入っているようでイルミにずいとベッドを沈ませながら近づいてくる。この様子だとベッドの上でなくとも迫られることは明白だった。

「だからさフェラチ」

 チョップを受けた。お陰では舌を思い切り噛んでしまい瞬間広がる鉄の味。お願いイルミさん、わたしたち人間は分かり合うために言語というものを操っているのだからそれを有効活用してください。
 見てよ噛んじゃった、と血が滲んでいる舌を見せ付けるように突き出してイルミを責めるが見せられた本人はどこ吹く風で、逆には興奮してしまった。そんなを見てイルミは若干の諦めを見せ、好きにさせることにした。そうでもしないとずっと問答が続きそうだったからだ。

「まあいいや。勝手にしてもいいけど話は続けるよ」
「やったあ!」

 いそいそとイルミのズボンに手をかけて複雑な作りのそれをてきぱきと紐解いていく。そして服の間から現れたソレを取り出すと、戸惑い無く口に含んだ。唾液を含ませて竿を舐め、先端を加え吸い上げる。イルミは自分の股の間に居る女をじっと見つめて、一度髪を撫でるように触ると先ほどと同じように抑揚無く会話の続きをし始めた。

「一週間後にまた一緒の仕事あるから。今度は絶対寝坊なんかするなよ」
「ふぁかってるって。っ、あれは久しぶりにイルミに会えるからわくわくして眠れなかったんだよ」

 一度口を離して言い訳めいたことを言ったが再びは行為を再開させた。いつの間にか自分も下の服を脱いでいる。その俊敏さは今発揮しなくてもいいものだった。

「いた。噛まないでよ」

 口いっぱいに頬張りながらはごめんね、と謝罪をするがその口の動きでもう一度歯を立ててしまいイルミはびくりと腰を揺らした。本人は気付いていないのだろうが、少し痛いくらいのほうがイイ顔をするのだ、この男。しかし歯を立てているのがわざとだとばれればきっと彼の白くて長い指がの呼吸器官を圧迫してくることは必至なのでこれはだけの秘密である。そして痛みで感じるのはも同じであり、先ほど裂傷を受けた舌で愛撫をしているうちに傷口が広がり今ではもう痺れしか感じない。口を離すと糸が引き、その色はピンク色だ。すっかりと勃ちあがった唾液でべとべとなそれを掴んで手で愛撫する。

「いれていい?」
「これだけで濡れたの。相変わらず淫乱だね」
「だからあ、イルミの殺気で仕事中もびしょ濡れだったんだって」

 何ソレ初耳。と感情の読みきれない表情で言うイルミの上に跨りはパンツを脱ぎ捨てて腰を下ろした。少しの抵抗だけですんなりと入ったそれは、がどれだけ潤っていたかを物語っていた。

「っうん、はぁ、ねえ気持ちいい?」
「まあね」

 はあんそのすまし顔崩したあい。と腰を上下に振りながらは悪戯を思いついたような子供のような顔で笑った。最初こそ不感症だと思っていたこのパートナー、しかし実際にしてみると確かに表に反応や感情は出しにくいがちゃんと勃つし達することも出来る。つまりは感じている。あとは快感を与えてその表情を崩すことができればのテクニックもここに至れりというレベルになっているということである。絶対喘がせてやる、とは燃えてきた。

「それで武器の指定なんだけど…」

 えい!感じろ!とが腹に力を入れて膣内を締め上げると今まで淡々と次の仕事の内容を話していたイルミの言葉に少し吐息が混じった。それを目ざとく見つけたは得意満面で何度か同じ刺激を繰り返す。よし、今日は3回はイカす!と目標を高らかには心の中で叫ぶが、突然腰を掴まれて引き寄せられ甲高い声を上げてしまった。

「話聞いてるの?」

 夢中で聞いていませんでした…。と素直に言えばいいのだがハイライトの無い瞳が怖くて終ぞは告白のタイミングを逃したままだった。

「あーあ、だから嫌だったのに。途中から絶対聞いてないと思ってた」

 正面座位の体制からイルミはを押し倒して奥に自身を埋め込んだ。真下から驚いたような嬉しそうな嬌声が聞こえて反省してないなコイツと乱暴に足を持ち上げる。

「あいたたたたたた!!むりっ、折れるっ」
「お前硬すぎ。柔軟性つけなよ」
「ふ、ハハハ。膣内と脳内の柔軟性はイルミもよく知ってるくせに!」
「馬鹿だろお前」
「ああああああその方向は無理だってええええええ」

 ぐいぐいとの太ももの裏を掴んでの胸にくっ付けるように持ち上げる。ぐうう、とうめくような声が聞こえてきてようやくイルミは少しだけすっきりとした。先ほどから容赦なく突き上げている所為か少しづつから余裕が無くなって来ている。タイム、という意味かもっと、という意味かは分からないがの手がイルミの腕を掴んだ。そのまま上へ上がって顔を撫でられる。

「汗、かいてる」
「ん。気付かなかった」
「フフン、っそんなにわたしが、気持ちいいのかね」
「ほんとに口減らないね」
「ん、う”…」

 前動作もなく唇を重ねてだらしなく開きっぱなしになっていたの口内に舌をねじ込む。一瞬驚いたのか引いてしまったの舌を絡めとると途端に絡み返してきて、イルミの口内に鉄のような味が広がった。先ほどの無茶で完全に傷が広がったらしい、しかしイルミはわざとそこばかりを執拗に舐め上げ、吸い上げまるでの血を絞る採るように動く。
 逃げるつもりはないのだろうが、逃げられないようにの頭と腰をホールドしていた手を更に引き寄せ吸い上げるとがびくびくと痙攣したのが分かった。少しぐったりしているから口を離すと放心しているような表情のと目が合った。

「っ、はあっ、やばい…いっちゃった」
「おれの勝ち」

 そういう勝負だったっけ?と呼吸を整えているを揺するとあ、駄目、と弱弱しい声が返ってきた。達した直後は敏感になるから動かないで、と以前もに言われたような気がするがイルミは気にせずに突き上げる。

「あぅ、あっん!イ、ああっ」
「なに休憩してんの。おれ、まだなんだから」
「っやぅ、イ、イルミっ、この間のっ、仕返しのつもっり!?」

 以前はイルミが先に我慢が出来なくなりの中で達してしまい、今回とは逆の立場で弄られたのだがイルミはああそんなこともあったね、とあまり気にしていないようだ。単にに対してイニシアチブを取れるのが楽しくて仕方が無いといった表情だ。付き合いの浅い者が見たならばいつものような仮面のような表情と変わりなく見えるが、なかなかの深い付き合いを持っているはそれがありありと分かり若干冷や汗を流す。
 イルミには反応の鈍いスイッチが存在し、それが一度入ると女王様も真っ青なほどガンガン攻めてくる。そんなイルミも新鮮で気持ちいいので好きなのだが、今になって今回の仕事の疲れが出てきてしまった。先ほどまでは気持ちが高揚していて疲労感はなかったのだが一度達したことで一気に体の力が抜けたようだ。久しぶりのイルミとの共同戦線はとても楽しかった反面肉体の酷使も半端無い。気付いているのか分からない表情で動いていたイルミが小さく呻いて自身を引き抜いた。熱い液体が腹の上に注がれるのを感じながら、最初の目的・すまし顔を崩させるを成功させたことをは喜んでいた。

「はあ…、久しぶりにアグレッシブなイルミが見れてわたしはもう満足だよ…」

 いつもはマグロなくせしてたまにやけに行動的になるときがある。なんだかんだ言ってイルミもわたしとの共同戦線楽しんでたのかあと自分に都合の良いことを考えてると、イルミに引っ張られて上体を起こされた。ん?と思っているとそのままぐりんと反転させられて、四つんばいのような体勢にさせられた。

「え、イルっ ああっ」

 どうもスイッチがまだ切れていないらしく、再びイルミの硬いものがをえぐった。心の準備ができていなかったは声を上げる。

「一人で満足してないでよ」
「あっあっ、わっ、わたしよりも、イルミが飢えてるって、どういっ、うこと!」
「さあ。なんか今日はまだしたい」
「精力的なっイルミも、嫌いじゃないよ!!」 

 もちろん強がりだ。すでにへばってしまっているを容赦なく後ろから突き上げてイルミはかろうじてまとわりついていたの上の服を全て取り払う。真っ裸になったの背中につめを立てると大きな声を上げてが啼いた。

「ドM」
「うるっさい、突発的サディストおおぉ!」

 ああ、もしかして今日がわたしの命日かもしれない。快感の中でぼんやりとは思い、口はしが自然と弧を描く。
 死因が腹上死だなんて、それなんてご褒美ですか?



スーサイドにはうってつけの
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