メイドっていう仕事はテレビや漫画やらで華々しく持てはやされているけど実は結構な重労働で休む暇もないらしいんですよ!と私が結構真剣な雰囲気を出して言ってみたら笹塚さんはいつもと変わらないテンションで「そうなんだ」と一言私に感想を言ってくれました。うむむ。もう少し大きなリアクションして貰えるかと思ったのだけれども、笹塚さんのポーカーフェイスは崩せないまま、ただ私はどこで活用しららいいのかよく分からない知恵を持つよく分からない子、という情報を与えてしまっただけだった。この私の行為はもしかしたら笹塚さんはメイド萌えな人なのかもしれないそうだったらどうしよう!という私の勝手な勘違いから探りを入れてみたという裏話もあるのだが、特に表立って言うことでもないと判断したので秘密にしておくとしよう。


「ちなみに笹塚さんは猫耳萌えですか?」
「さっきからよく分かんないこと聞いてくるけど、手、止まってるよ」


私の視線は笹塚さんへ、笹塚さんの視線は私の手元にある夏休みの宿題でもある数学のワークへとそれぞれ熱く突き刺さっている。ちなみに言うと私が変なことを言い出したのは計算に行き詰ったからというどうでもいい理由が含まれているのだが、それよりも私は笹塚さんが猫耳萌えだったらどうしようと考えても質問でした。笹塚さんは私の手が完全に止まっているのに既に気付いていたらしく、とっても分かりやすい説明で私が早々に行き詰った計算の途中計算の説明をしてくださった。おお、ふむふむ、なるほど、なんて分かりやすい説明なんだ。流石笹塚さんだ、尊敬の念を送らずにはいられないな。


「ここまで分かったら後は簡単だから、解いてみて」
「はい。………。よし、どうですか」
「…うん、合ってるよ」
「ありがとうございます。ちなみに笹塚さんは女子学生のブルマやスクール水着に並々ならぬ興味はお持ちですか?」
「いや、あんまり興味はないかな」
「はぁ、そういったものには性的嗜好が掻き立てられないのですね」
「そうだね。次これ解いてみて」


笹塚さんはいたって普通に私をあしらって、同じ解き方で解ける問題を指し示して私に指示した。ああ、これはさっきと同じだから、簡単に解けるぞ。にしても笹塚さん、大人の余裕というものなんだろうか、私の先程からのどんな内容の質問でも簡単に答えてくれるぞ。どうしようもなく素敵だ。これはもう私の身体を差し出すしかないのだろうか。解き終わった後に笹塚さんに見せると、「正解だな、これはもう解き方覚えただろ」となんとも優しいお言葉を私にかけてくださった。そしておまけに私の頭を撫でてくださった。よしよしと、いつもと変わらない表情でするので私はなんだかくすぐったい感じがした。…もう私の状態は、あれです、笹塚さん萌え。


「笹塚さんには萌え要素がたくさんあるのですが、笹塚さんが萌える要素がいまいち分からないです。笹塚さんは何萌えなんですか?」
「まず萌えの意味とちゃんが分からないかな」
「萌えとは簡単に言いますと、これは大好きだ!もうどうにかしてやろうかこの野郎!という気持ちが爆発しそうな感じのときに使う言葉ですね。私のことが知りたくなったんですか?私はいつでも受け入れる準備はできています。さぁ、私の何が知りたいんですか笹塚さん」
「前言撤回だ、ちゃんのことはすごく知ってるからなにも教えてくれなくてもいいよ」
「そうですか。うれしいですが少し寂しいですね」
「あぁ…、でも、分かった、これは言えるな」
「はい、なんでしょう」
「…ちゃん、萌え」





落下する天使たち




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