6:00   寝苦しさのため起床。体温(36.9)。微熱ではあるがやけに身体がだるい。微かに頭痛。
7:50   めざましテレビを見ていたら目眩で今日のわんこのわんこがぼやける。食欲は無し。
8:33   半分が優しさでできている錠剤を購入。ついでにハンドクリームも購入。
9:00  あ、効いてきた。少し寝ることにする。
10:03  ………。
10:28  …………………。
11:09  体温(38.6)あ、これきっつい。メールにてSOSを送りつける。
12:00  「おーい、生きてる?」倒れるように寝ているところに袋を提げた結也が颯爽と登場。




「症状は?」
「体中の関節痛くて…腰も痛い。寒気して、なんか吐きそう…」
「熱測ろっか。はい失礼(ごそごそ)」
「むー…(ピピピピ)」
「38.8度…高いな」
「…風邪?」
「風邪だな。体調管理しっかりしろよな」
「面目ない…」

そういって私を再びベッドに寝かせてくれる結也の手はやけに優しくて、やっぱり病人って結構良いよな!と思うにはこの頭痛は痛すぎた。持ってきた袋をごそごそと探っていると思ったら、額にいきなり冷たいものが引っ付いてびっくりして目を開けた。横目で結也を見るとその横に冷えピタの箱が開いている状態で置いてあって、ああ、冷えピタかぁ、とやっと私の頭は理解した。私の頬に触る結也の手は冷たくて、気持ち良い。そっとそれを握ると、結也も握り返してくれてほっとした。…なんだ、病気になると心細くなるっていうけど本当だな。今とても結也が頼もしく見えるよ。「何か食べた?」「…食欲無くて」「薬買ってきたからなんか腹に入れなきゃ。米ある?」「ある…はず」という会話を頭がぼーっとしていながらも交わして、結也はそっと立ち上がった。その際もちろん私の手を握っていた手は離れていくので、あ、と思って結也を見上げると、何かに耐えているような表情をされたが、「お粥でも作るよ」と台所へ行ってしまった。寝返りをうつだけでも酷くて、これ私死なないか?大丈夫か?と柄にも無くかなり弱気になって結也が消えた方向を見た。壁しか見えない。

.
.
.

、寝てる?」
「……(すーすー)」

暫らくして作り終えたお粥を持ってきたら、は顔を赤くさせて目を閉じていた。お粥を机の上に置いて、の寝顔をまじまじと見る。うっすらと汗が滲んでいて、本当に酷そうだ。どうせまた髪の毛乾かさないまま寝たとかそういう理由なんだろうけど、いつになく弱弱しいの姿は珍しく、なんだか可愛い。…病人に欲情したら、いかんよな、ホント。鼻をつまんだら、微妙に顔を歪めて唸った。起きるか?と思ったがそのまま寝続ける。もう少しその姿を見ていたかったが、折角作ったお粥がさめるのもな、薬飲ませなきゃいけないしな、ということでを揺すった。

「う、…うん?」
、お粥作ったよ」
「う…うーん」
ー」
「今、起きる…」

もぞもぞと動くを手助けして、起こさせた。身体、あっつい、というか汗すごいな。あとで着替えさせなきゃ。ぼーっとした様子だったが、徐々に目が覚めてきたらしく、の目に俺が映った。…駄目だって俺!くそ、なんで頬が赤くて目がとろんとしてるんだよ!だって、だってなんかもう…っ、そうだろ!?病人に手を出すな結也病人に手を出したら最低だぞにかなり冷たい目で見られることになるぞあの気持ちを忘れたのか結也!………うん、よし、もう大丈夫。大丈夫だから、そんな不思議な生き物を見るような目は止めてくれ。そう一人で悶々していると、少し動きを止めていた俺に不安を覚えたのか、が俺の服の袖を掴んできた。だから駄目だってそういう可愛い行為は!!

「結也?」
「あ、うん、なんでもないよ。自分で食べれるか?」
「食べさせてくれないの?」

………誘ってんのか?俺は早くなる鼓動をなんとか抑えながらも口を開けるに掬い取ったお粥を運ぶ。食欲はなくても腹は減っていたらしく、は半分くらいはぺろりと平らげた。薬と水を渡して飲むところを見守る。…これで後は早く熱が引いてくれるといいんだけどな。

「…結也、ちょっと服取ってきて」
「へ?」
「着替える。汗すごいかいたから」

分かってる、にはそんな気は微塵にもないのは分かっているが、分かっているんだけれども!……俺って、溜まってんのかな。そこらへんに畳んであった服を渡すと、がじっと俺を見る。え、まさか?

「脱がせて」

うん、OK、分かった誘ってるんだな?そうかそうか、据え膳食わぬは男の内でないとかっていうしな。分かった分かった、うん分かったよ。万歳をしているの服を脱がせて、俺は新しい服を着せた。………俺の意気地なし!!そんな遠慮する関係でもないのに、俺ってヘタレなのかなー…。自分の甲斐性の無さに落ち込みながら、の温くなった冷えピタを剥がして新しい冷えピタをくっつけた。さっきより熱は引いたみたいで、具合もよくなったみたいだ。視線もしっかりしてるし、また寝たらもうほとんど熱はないだろう。また寝かせて布団もきちんと掛けてやる。ぽん、と布団を叩いたらがこっちを見て、俺の胸倉を掴んだ。え、俺まだなにもしていないけど!?そのまま引っ張られて少しだけ唇が触れるだけのキスをされた。ぼーっとを見つめたら、熱のせいかどうだかは分からないが、赤い顔をして、「うつったらごめんね」と呟いて布団に潜り込んで行った。……。…………。…風邪がうつったら、絶対に看病してもらおう。俺の身体も熱くなってきたのは、きっと風邪のせいだ。ちゃんと責任、取ってくれよ?


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